Vol.22 第22回本公演
404
上町総合病院4階D号室…。
看護婦たちはそこを密かに404と呼ぶ。
不吉な文字が重ねられたこの部屋の4番ベッドでは…! 」
「先生ッ、この患者さん、笑顔でご臨終ですッ!!」
作:小倉昌之と劇団娯楽天国
演出:小倉昌之
1999年6月25日(金)~6月27日(日) 全5ステージ
会場:銀座小劇場(東京/銀座)
出 演
高畑加寿子
渡辺幸枝
トラック高橋
飯田茂
壱森マサヒロ(シリアルナンバーズ_
太田和輝
伏見実千代
小倉昌之
STAFF
舞台監督:山口勝也(バーニングブルー)
美術監督:佐藤大樹
照明:大串博文(アステック)
照明操作:大塚裕香里(アステック)
音響:飯田博茂(飯田音響)
大道具:久保田貴 高橋謙一 堀進太郎 大谷憶寿 宮脇良太
中道具:今井園子
小道具:渡辺幸枝
衣装:北代佳代
スチール:前田みき
VTR:堀進太郎
運搬(片道):トラック高橋
娯楽通信:吉村賢太郎 仁田尾里美 白石佐代子
表方:草野美紀子 吉村渓 仁田尾里美 永野美智子
制作統括:吉村賢太郎
協力:佐藤俊夫・千鶴子ご夫妻 生江きみ枝 山形祐子 近藤あやこ
特別協力:昭和大学医学部第2外科 草野満夫教授と医局の皆さん 田園調布中央病院
後援:ビーウィック有限会社 株式会社ブライダルコアときわ
企画:「404」製作委員会
制作:パラダイス・パーティ
STORY
都内にある上町総合病院4階D号室。「404」と呼ばれる小汚いその病室の4番ベッドは「死のベッド」と呼ばれ、このベッドに運び込まれた患者には必ず死が訪れるという噂が病院内を跳び回っていた。噂の主は、松原悟朗(飯田茂)。事故で足を骨折したトラック運転手の彼は、病棟が違うにも関わらず、毎日「404」に来ていた。そして、看護婦の世田谷敏子(伏見実千代)。話の相手は専ら宮坂明(トラック高橋)。サラリーマンの彼は胃潰瘍で入院していたが、自分の病気はガンではないかと疑っていた。
松原と世田谷看護婦は、普段は使用されない「404」のベッドの不吉な物語、そのベッドには看護婦と実らぬ恋に落ち、自殺してしまった青年患者の霊がのりうつっているという話を聞かせては、宮坂を怖がらせていた。同室の太子堂豊(小倉昌之)は三人の話に迷惑していた。
その部屋になぜか、若林恵(高畑加寿子)という女性患者が引っ越ししてくる。女性病室が老朽化のために工事をする間、404号室に移動させられたのであった。キャリアウーマンの彼女は、仕事のため禁止されている携帯電話をいつも使用していた。騒がしい病室に太子堂は文句をいうのだが、みな聞き入れない。婦長の松陰良子(渡辺幸枝)は、いつも彼等を厳しく注意するのであった。
そんな「404」の4番ベッドについに救急患者が運び込まれる。山下圭一郎(壱森マサヒロ)いうバンドをやっている青年である。風呂で転んで傷を負い運び込まれたのだ。一同は戦慄する。世田谷看護婦は風呂で転んだくらいで、救急車で運び込まれるのはおかしいと声をひそめのだった。いわくありげな山下が、ひょっとして自殺するのではないかと松原は、毎日見張っていた。しかし、山下は非常に明るく前向きで、後ろ暗い様子などみじんも感じられなかった。
そんなある日、回診で病院のドラ息子・下高井戸孝之医師(太田和輝)が、宮坂に安易にガンを宣告する。簡単な切除だから心配いらないと諭す下高井戸医師だが、絶望した宮坂は、自殺騒ぎを繰り広げる。
ついに宮坂の手術の日がやってきた。順調にいけば簡単な手術の筈が、下高井戸医師の医療ミスで、宮坂が昏睡状態から醒めない。山下の必死の呼びかけに宮坂は生還する。一同安堵し、泣いてわびる下高井戸の姿があった。。しかし、今度は山下が倒れてしまう。
実は、山下は不治の心臓病に侵されており、余命がいくばくもなかったことを一同は松陰婦長から知らされる。皆の必死の祈りにも関わらす、山下は天に召されてしまう。一同は、死ぬことがわかっていても前向きで明るかった山下から生きると言うことを学び、病院から退院して行くのであった。
公演メモ
・女優を引退し制作に廻っていた劇団員最古参の草野美紀子が、10年ぶりに「声」で舞台に復帰する。
・客演・飯田茂氏が、「お父さんの休日」以来5年ぶりに娯楽天国に出演。
・劇団創生期から活躍した怪優・トラック高橋が、この公演を最後に退団。
・この公演のみカーテンコールで「That’s Entertainment」が使用されす、開演前に流れることになる。
座長が当時を振り返って
「トラック高橋という役者は、学生時代に合コンで誘われて劇団に入団したというとんでもない経歴を持つ男やが、ほんまに逸話の多いヤツやったで。彼のつくった「イモリさん」というキャラクターは、余人に真似の出来ない凄みがあったもんや。この公演では、手術に失敗して昏睡してしまう役やったけど、本番寸前の通し稽古で、ほんまに眠ってしもうて、いつまでも起きなかったというスゴイ話がある。いくつものタカハシ伝説は、今でも劇団で語り継がれているけど、ほんまスゴい奴やったなぁ~。長いことお疲れさまでした。」