Vol.19 第19回本公演
はい、こちら地球防衛軍

原作:エム ナマエ
構成・演出:小倉昌之

1997年5月16日(金)~5月18日(日) 全5ステージ

会場:SPACE107(東京/新宿)

出 演
丹治智浩
高畑加寿子
トラック高橋
渡辺幸枝
小倉昌之
仁藤明彦

STAFF

舞台監督:山口勝也(バーニングブルー) 宮脇良太
美術監督:佐藤大樹
照明:大串博文(アステック)
音響:飯田博茂(飯田音響)
作曲:吉村渓
大道具:大谷憶寿
小道具:今井園子
衣装:羽角聖美 北代佳代
運搬:トラック高橋
表方:草野美紀子 仁田尾里美 畑紫織
制作統括:吉村賢太郎
娯楽通信:吉村賢太郎 羽角聖美 井村和人
特別協賛:ブライダルコアときわ
企画・制作:娯楽天国制作部(パラダイス・パーティ) 高畑加寿子 渡辺幸枝

STORY

都内某所のボロビルの地下には、「地球防衛軍司令部」があった。すぐそばを地下鉄が走り、地下だというのにいつも部屋は揺れていた。1Fにはピザショップがあるが、このピザショップは「地球防衛軍」が隠れ蓑として経営していた。…というよりも、ピザショップが「地球防衛軍」をやっているのだった。

オーナーはモロボシ司令官(仁藤明彦)。地球を愛し、地球を憂い、地球を救おうとする正義の人である。彼はいざとなったら、ウルトラマンに変身できると信じていた。社会的にみるとちょっと頭がゆるい人物であるが、本人は大真面目であった。ピザショップの店長は、キリヤマ隊長(小倉昌之)。リストラされた元サラリーマンで、モロボシ司令官のところに転がり込んできた。うわべはモロボシ司令官に忠実なごますり人間であった。店員は、アンヌ隊員と、盲目のイデ隊員。アンヌ隊員は、地球防衛軍のアイドルであったが、記憶喪失に陥っており苦しんでいた。この問題を抱えた総勢4名の店員、いや、隊員で、「地球防衛軍」は構成されていた。店は、パートのオバサン(渡辺幸枝)と呼ばれる年齢不詳、経歴不肖の人物によってなんとか運営されていた。

今日も「地球防衛軍司令部」では、地球をいかに守るかが真剣に議論されていた。迫り来るであろう怪獣の名前や性質などの学習、怪獣が現れたときの攻撃の訓練など、隊員たちは、モロボシ司令官の手前真剣であった。しかし、オバサンからのピザの注文コールが響き渡ると、司令官の制止の声も聞かず隊員たちは、ピザの配達に出動していくのであった。

ある日、「地球防衛軍司令部」に不審人物が潜入する。怪獣退治には手慣れた彼等も、人間捕獲には不慣れであった。ようやく捕まえてみると、ちんけなコソ泥(トラック高橋)であった。何とか助けて欲しいと懇願するコソ泥。隊員たちは警察につきだそうとするが、モロボシ司令官は、この正体不明の人物を隊員として加えることにする。彼はアラシ隊員を名乗りその日からメンバーとなる。

数日後、大きな地震が起こる。ビルの地上部分は倒壊してしまい、地下の司令部は停電となってしまう。何も見えない彼等を救ったのは盲目のイデ隊員であった。彼は、一同を脱出させようと試みるが、入口ががれきの山で押しつぶされていることに気づく。最後の脱出方法は、地下鉄に通じる地下道だが、その先も崩れて行けないことを知る。一同は取り残されてしまったことに戦慄する。
そんな時、アンヌ隊員が記憶を甦らせる。彼女は阪神大震災の被災者だったのだ。その時のトラウマにより、パニックに陥ってしまう。更に災難は続く。糖尿病の持病を持っていたオバサンが倒れてしまう。インシュリンを打たなければ、オバサンは死ぬ。しかし、真っ暗で注射を打つことができない。ピンチの中で、アラシ隊員が注射を打つ。実は彼は元医者で、医療ミスにより患者を死亡させており、警察から逃亡していたことをカミングアウトする。彼によって窮地を救われたかに見えたが、ガスの臭いがしてくる。どこかでガス漏れをおこしているらしい。このままでは全員窒息死だ。一同は、絶望する。

そんな彼等を救ったのはモロボシ司令官であった。彼は自爆して、脱出口をつくることを宣言して、ライターに火をつけ地下道へ飛び込んで行く。大爆発とともに脱出口が開く。

一同は、助かった。死んだと思われたモロボシ司令官も奇跡的に生きていた。警察に自首するというアラシ隊員に別れを告げ、なにもなくなったビルの廃墟で「地球防衛軍」は、再び結束し、希望に向かって進んで行くのであった。

公演メモ

・原作脚本は、盲目の画家で作家のエム ナマエ氏による当劇団書き下ろし作品。この作品が氏の処女戯曲となる。
・劇団も長く活動してきて疲労がたまったため、本公演の後1年間の充電に入る。
・記録ビデオあり。

座長が当時を振り返って

「本公演で初めて、外部作家の脚本を上演したわけやが、とどのつまりが、ワシがホンを書けなくなったわけやね。この後充電期間を設けるんやけど、1年ぐらいの充電で、ホンが書けるようになるかいな。結局遊んでしもて終わりや。はははは。情けない…(泣)。」