Vol.24 第24回本公演
オプショナル・ツアー
~ヤポネシアンの忘れ物~

穴場のビーチリゾートでのんびりバカンス!…の、ハズだった…!!

紺碧の海。白い砂浜。照りつける太陽と椰子の木陰…。
東南アジアの隠れたリゾート、「プンジャロモケケ島」。
歴史の薫る首都ブカプンジャロや太平洋戦争の要塞跡など見所たっぷり。
今日も旅行通の日本人ツアー客が…。

んつっ!…国際空港で足止めェ!?内戦?革命?それとも…

…天国に一番近い島、プンジャロモケケではオーシャンビューのコテージと
真心込めたサービス、そして七色に変化するサザンクロス・ビーチが貴方をお待ちしています!
劇団娯楽天国がお連れする、魅惑のプンジャロモケケ・ミステリーツアー、いざ出発!

作・演出:小倉昌之

2000年12月8日(金)~12月10日(日) 全5ステージ

会場:TACCS1179(東京/下落合)

出 演
高畑加寿子
渡辺幸枝
飯田茂
太田和輝
菊原光一
入江兼舟
壱森マサヒロ(シリアルナンバーズ)
近藤綾子
上窪勇樹
角田文
伊藤梨江
石津正幸
小倉昌之

STAFF

舞台監督:宮脇良太
美術監督:佐藤大樹
照明:大串博文(アステック)
照明操作:大塚裕香里(アステック)
音響:飯田博茂(飯田音響)
音響操作:飯田章子(飯田音響)
大道具:久保田貴 高橋謙一 堀進太郎 大谷憶寿
中道具:今井園子
小道具:渡辺幸枝
衣装:高畑加寿子
スチール:前田みき
VTR:堀進太郎
表方:草野美紀子
制作協力:枝みほ 小野文子 おのよーこ 仁田尾里美 永野美智子 白石佐代子 山形祐子
制作統括・娯楽通信:吉村賢太郎
協力:(株)太陽プロモーション 高津装飾(株) (株)カメラのきむら池袋店
後援:ビーウィック有限会社
企画・制作:パラダイス・パーティ 高畑加寿子

STORY

東南アジアにあるリゾート・アイランド「プンジャロ・モケケ島」。島唯一の空港であるプンジャロ・モケケ国際空港の鄙びた待合室では、日本人観光客の集団が長時間足止めをくっていた。彼等の目の前には日本行きの飛行機が見えるというのに何故かフライトできないでいた。

一同は、ツアー・コンダクターの後藤剛史(太田和輝)に詰め寄るが要領を得ない。蒸し暑い待合室でイライラする一同をなごませようとツアー客のカメラマンの滝修一(菊原光一)は努力するが、一同のストレスはピークに達しようとしていた。蛎崎誠(小倉昌之)と蛎崎律子(渡辺幸枝)の夫婦は新婚旅行に来ていたが、成田離婚寸前。商用で来ているらしいサラリーマンの山本肇(上窪勇樹)は黒のスーツにサングラスというヤクザのような海江田八郎太(飯田茂)と一触即発の雰囲気。さらにガングロ・ギャルの村上純奈(近藤綾子)と榊原絵里(伊藤梨江)の言動は一同のイライラを盛り上げていた。

作家の吉永トマト(角田文)は後藤の持っていたラジオを聞いて革命でも起こったのではないかと一同を更に不安に陥れる。一同は、怪しげな土産物を売りにきた現地人のケロケロ・キノシタ(入江謙舟)から島の国宝が盗まれ、どうやら日本人観光客の中に犯人がいるのではないかと疑われているとの情報を手に入れる。一同は疑心暗鬼になる。

一方、麻薬捜査官として潜入捜査をしていた夏木はるか(高畑加寿子)は、麻薬の密輸をしているのが海江田ではないかと疑う。しかし、怪しい海江田は八百屋の若旦那であることが判明する。夏木捜査官が捜査をしてゆく過程で、島の国宝というのが日本の「ふんどし」であり、しかも滝カメラマンが犯人であることがわかる。

実は国宝の「ふんどし」とは、太平洋戦争中に島で戦死した滝カメラマンの祖父である故・山口中尉の所有物で、「ふんどし」には”千人針”が施されていた。余命いくばくもない祖母のため、つい祖父の形見を持ち出してしまったと語る。

一同は、滝カメラマンを責め、更に日本人が太平洋戦争中に島で侵した戦争犯罪の数々を弾劾する。しかし、現地人ケロケロ・キノシタは、日本人が島で悪事を働いたというのは全くの嘘で、日本から多額のODAを獲得するための方便だという。その話を太平洋戦争中に日本の軍属であった祖父に聞いたと語る。

現地で喧伝されていることと、戦時中の真実とが異なることに憤慨した作家吉永は、日本の名誉のために滝カメラマンと「ふんどし」を島の官憲に渡すべきではないと主張する。しかし、サラリーマン山本は、犯罪者を隠匿すると日本に帰れないと反対し、観光客同士で反目し合う。

ついに島の軍司令官であるポレポレ・ハン(壱森マサヒロ)と部下のベラベラ・ポン(石津正幸)が現れる。事情を現地人ケロケロから聞いたポレポレ司令官は、滝カメラマンの犯罪を許し、国宝の「ふんどし」だけを渡すように要求する。滝カメラマンは、謝罪と共に国宝である「ふんどし」を司令官に手渡す。ポレポレ司令官は、サラリーマン山本が違法の卑猥なDVDなどを国外へ持ち出そうとしているのを見とがめ連行する。

司令官の許可により、飛行機は離陸することになった。一同安堵と喜びの中で待合室を出ていく。その中で、夏木捜査官は、ツアー・コンダクターの後藤こそ麻薬密輸の犯人であったことを悟るのであった。

公演メモ

・この作品は、「プンジャロ・モケケ島3部作 第2弾」と呼ばれる。しかし、3部作と銘打ちながら、3作目はいまだに書かれていない。
・サブタイトルの「ヤポネシアン…」とは架空のプンジャロ・モケケ島で使用されている架空のプンジャロ・モケケ語で日本人の意味。
・舞台装置はプロセニアムに大がかりな装飾が施されたもので、劇場TACCS1179はじまって以来の大セットといわれる。
・脚本には、公演前に生まれて初めて海外旅行をした脚本家・小倉昌之の感動が込められている。
・娯楽天国ガイジン枠の入江謙舟氏は、4度目の出演。今回の役は日系プンジャロ・モケケ人。

座長が当時を振り返って

「ワシが初めて海外旅行した感動を元にこの作品は書かれたわけやが、13人の登場人物を1幕物で描ききるのはほんましんどかった…。プンジャロ・モケケ三部作は、構想としては過去(WAR・HO・HO)、現在(本作品)、未来となってるんやが、3作目はいつのことになるのか自分でもわかりませーん」