Vol.10 第10回本公演
サイレント・ナイト
~SILENT NIGHT~

またまた娯楽天国の公演がやってまいりました。

このたびおとどけする物語は、あるひとつの閉ざされた空間の中で
くりひろげられるシチュエイション・コメディ。
あくまでも”シチュエイション”にこだわって
極限状況におかれた人間たちのドタバタ模様をお楽しみいただきます。

 クリスマスソングの流れるこの季節、
そうでなくてもうきうき楽しいあなたを天国までイカせましょう。
(チラシのキャプションより)

作・演出:小倉昌之

1992年12月9日(水)~12月13日(日) 全7ステージ

会場:築地本願寺ブディストホール(東京)

出 演
馬野裕朗
植松瑞代
羽角聖美
広瀬麗栄
川西宏
小倉昌之

STAFF

舞台監督:目黒多恵子
美術監督:佐藤大樹
照明:大串博文(アステック)
音響:鶴田さおり
音響協力:黒岩佐起
作曲:吉村渓
大道具:堀進太郎
小道具:鶴田さおり 高津装飾美術
衣装:羽角聖美
美粧:八木晶子
運搬:トラック高橋
宣伝美術:上田直史
撮影:逆井良昭 奈良清子
表方:草野美紀子 高畑加寿子 小宮山民人 仁田尾里美
娯楽通信:羽角聖美 高畑加寿子
衣装提供:ときわ
企画・制作:パラダイス・パーティ

STORY

クリスマスの夜。とある夫婦(小倉昌之・広瀬麗栄)の家に泥棒(川西宏)が忍び入る。泥棒と家の亭主はウリ二つで服装まで似通っていた。

夫婦は外出中で、妻は愛人(馬野裕朗)とクリスマスの夜を楽しみ、夫は飲み屋で飲んだくれていた。夫婦の仲は冷え切っており離婚寸前であった。泥棒は空き家を物色しているが、そこに妻が愛人とともに帰宅する。必死で隠れる泥棒。しかし妻に見つかってしまう。

が、愛人を見られたくない妻は泥棒を自分の夫と勘違いし、愛人を隠そうとする。そこに帰宅する本物の亭主。亭主は泥酔したまま眠ってしまう。その後飲み屋のママ(植松瑞代)がツケの金を取りにやってくる。亭主のふりをして応対する泥棒。起きあがろうとする亭主に妻の愛人がパンチを喰らわせる。

様々な勘違いが勘違いを伴ってクリスマスの夜が騒がしく更けてゆくのであった。

公演メモ

・稽古期間中に主役の馬野裕朗が謎の失踪。一同パニックになる。約2週間、稽古が停滞する。
・本番前日、音響担当の鶴田が劇場設備の結線がわからず、一同パニックになる。当日たまたま照明の仕込みに来ていたステージ・スペシャリストの黒岩(現・大木下)佐起氏に協力を仰ぐ。彼女がいなければこの公演は音楽なしのとんでもない公演になるところであった。
・土曜日の昼、本番中に女優の植松瑞代が肩を脱臼。泣きながらも舞台を勤めタクシーで病院へ。一同パニックになる。公演中止が頭をかすめるもなんとか夜公演を終え一同安堵する。
・他にも次から次から難題が降りかかった公演。一同なぜかと考えるにブディストホールという本来仏教の説話や葬儀を行う施設でクリスマスというキリスト教の話をやったのが最大の原因ではないかと思い至る。
・劇中音楽は音楽評論家の吉村渓氏が作曲。
・記録ビデオなし。

座長が当時を振り返って

「この芝居は特に思い出深いわ。内容のことは忘れてしもたけど、様々の難題はいまでもよう忘れん。瑞代が本番中、舞台袖でイタイイタイいうて泣き出したときは、“どうすりゃええんや”とほんま神に祈ったで。しかし、本願寺の劇場でクリスマスの芝居やりながら神に祈ったらよけいいかんかったかも知らん。」