お父サンの休日

Vol.14 第14回本公演
お父サンの休日

<ぼくのお父サン> 二ねん一くみ おぐらまさゆき

ぼくのお父サンはさらりーまんです。
あさはやくからいえをでて、よるおそくかえってきます。
ときどきおみやげにけーきをかってきてくれます。
でも、ちかごろは「ふけーきだ。ふけーきだ。」といってけーきをかってきてくれません。
ぼくはべつにけーきじゃなくてもいいから、おみやげをかってきてほしいです。

なつやすみのかぞくりょこうは「はいし」になりました。
ふけーきだからだそうです。ふけーきというのはなんでも「はいし」に
なることだそうです。でもお父サンはおやすみの日にいえでごろごろしています。
ごろごろしているならどこかにつれていってほしいです。
でぃずにーらんどにもう一どつれていってほしいです。
それから、さっかーもみにいきたいです。すきーもしたいです。
ぐあむやさいぱんもいいです。しばうらごーるどもいいし、
それからどうとんぼりげきじょうも…
(チラシのキャプションより)

作・演出:小倉昌之

1994年12月7日(水)~12月11日(日) 全7ステージ

会場:下北沢駅前劇場(東京/下北沢)

出 演
仁藤明彦
植松瑞代
羽角聖美
高畑加寿子
丹治智浩
高橋宏誌
白石佐代子
飯田茂
小倉昌之

STAFF

舞台監督:山口勝也(バーニングブルー)
美術監督:佐藤大樹
照明:大串博文(アステック)
音響:飯田博茂(飯田音響)
音楽・作曲:吉村渓
大道具:堀進太郎 大谷憶寿
小道具:鶴田さおり 今井園子 あいまいもこ 高津装飾美術
衣装:羽角聖美
美粧:高畑加寿子
方言指導:佐竹英夫
運搬:トラック高橋
撮影:逆井良昭
表方:草野美紀子 仁田尾里美 永野美智子 加藤こずえ 加藤咲絵子 炭本千賀子
制作統括:吉村賢太郎
協力:奈良清子
娯楽通信:娯楽天国編集部 吉村賢太郎 羽角聖美 井村和人 吉沢和希子 イノウエシンスケ
後援:(株)日本アプライドリサーチ研究所
企画・制作:劇団娯楽天国制作部(パラダイス・パーティ)

STORY

場所は東北の山奥にある「ニューグランド赤蒸温泉ロイヤルリゾートホテル」。名前とは裏腹のボロい温泉宿である。季節はクリスマス前。外は吹雪であった。

宿は女将(羽角聖美)と番頭の爺さん(高橋宏誌)が切り盛りしていた。泊まり客は、寒井一郎(仁藤明彦)。東京のとある会社のサラリーマンだったが、子会社のラーメン店に左遷されてしまい前途に絶望していた。家族には出張とごまかし傷心旅行に来ていたのだが、心は晴れなかった。
一郎は、宿の女将が、早死にした母親代わりの女性にそっくりなことに気付く。彼は大好きだった彼女のことを懐かしげに女将に話すが、女将は一郎を知る由もない。

客はもう一人、トラ子(小倉昌之)というおかまである。彼(彼女?)はエイズである自分をはかなみ、自殺するために泊まっていた。一郎は、心を癒すどころかトラ子の自殺騒動のドタバタに巻き込まれてしまう。

そこへ宿泊客が現れる。スキー客の渥美優二(丹治智浩)と鈴繁涼子(白石佐代子)である。優二は一郎の元部下であり、無断欠勤したのを怪しんだ会社の命令で一郎の様子を探りに来たのだ。一郎に顔を合わせないように妙な行動をとる優二。何も知らない涼子はそれをいぶかしがる。ドタバタの輪が増えてゆく。

一郎を探っているうちに、優二はおかまのトラ子と出合う。何故か二人は知り合いであった。やけに親密な二人の様子を憤る涼子。別のドタバタの輪がはじまった。

またまた新たな宿泊客がやってくる。一郎の妻の零子(植松瑞代)と娘の一美(高畑加寿子)である。彼女たちは、歳末セールの抽選で温泉旅行を引き当て、一郎に内緒で泊まりに来たのだ。新たなるドタバタの火種が巻き起こる。

そして最後の宿泊客が登場する。ホストの冷島翔(飯田茂)である。彼は零子が行きつけていたホストクラブの売れ残りホストである。金持ちの奥様だという零子の大嘘にのせられて、金をせびるために彼は苦心して零子の後を追いかけてきたのだ。
かくして出合ってはいけない人たちの、出合っては破綻する最大級のドタバタが繰り広げられる。

しかし、ついに全員が顔を合わせることになってしまう。お互いがお互いをなじりあい、お互いがお互いを諫めていた。その喧噪の中、トラ子により、宿の電線が切られてしまう。一同を道連れに凍死自殺するもくろみであった。トラ子をつかまえてみると、なんとトラ子は優二の父親であった。トラ子は究極的な勘違いで、自分をエイズだと思いこんでいたのだが、優二の言葉で自分が病気ではないことを知る。トラ子はあわてるが、全員トラ子の睡眠薬を間違えて飲んでしまっており、全員凍死寸前になる。死ぬ間際、一郎は母親代わりの女性に抱かれている夢を見る。

だが、朝起きると全員助かっていた。実は宿の女将は、その女性の幽霊であり、一同を幽霊が救ってくれたのであった。一郎はそのことを知り、朝日を見ながら、もう一度生きていく希望を見いだしていた。

公演メモ

・劇団最高傑作という呼び声高い喜劇作品。
・スポンサー企業からはじめて後援金をいただいた。
・女優・高畑加寿子のやった「カズミ」という役は、彼女に「カズミ」の霊が憑依し、当たり役となる。以後、彼女は「カズミ」が持ちネタに。
・劇団旗揚げ以来、看板女優を勤めてきた植松瑞代氏は、この作品を最後に引退した。
・武蔵野美術大学の酒井道夫教授にチラシの賛辞文をいただく。
・劇中音楽は、全曲オリジナル。作曲は、音楽評論家の吉村渓氏。
・記録ビデオあり。

座長が当時を振り返って

「いまビデオで見てもこの作品の完成度は結構高いと思う。いつでも再演に耐えうる作品やと思うし、やりたいねんけど、なんやかんやでいまだに再演ができん。ま、そのうち必ずやりますけどね」